センセイと一緒 ~feel.White~
「で、でもっ……」
「大丈夫だよ。公務員じゃなくなっても、君ひとりぐらい食べさせていけるから。能楽師になってもいいし、教員免許があるから塾の講師とかでもいいしね?」
「……」
「それなりに貯蓄もあるし。資産や株も持ってるしね?」
鈴菜はその言葉にくらっとした。
……本当に本気なのだ、尚哉は。
鈴菜が何を言っても無駄な気がする。
尚哉はどんなことがあろうと自分と別れる気は毛頭ない。
そのことを、鈴菜は心の底から理解した。
そんな鈴菜の髪を撫でながら、尚哉は言う。
「ただ、問題は……もしそうした場合、未成年者略取という扱いになるかもしれない、ということかな?」
「……?」
「君はもう18歳だから青少年保護条例には引っかからない。けれど、20歳になるまでは未成年だ。君のご両親が親権を主張したら、最悪、検挙・逮捕される」
「……」
「正直、それは避けたいね。前科持ちになるのはともかく、君と離れるのは嫌だ」
――――いや、前科持ちになる方が遥かに問題のような気がするのだが。
青ざめる鈴菜の髪を、尚哉は指先で梳きながら言う。