センセイと一緒 ~feel.White~



そして、授業が終わった後。

鈴菜は教科書をしまい、席についていた。

どうやら今日はホームルームがあるらしい。

クラスの皆が席に着いたと同時に、ドアから尚哉が姿を見せた。


「……お待たせしました、皆さん」


いつもの尚哉の姿。

……ふわっとした真っ直ぐな茶褐色の髪に、夕凪を思わせる美しい瞳。

ずっと見つめていたい、その姿。


「ひとつ、皆さんに報告があります」


尚哉は教壇の上から、ぐるっと生徒達を見回した。

いつもと変わらない、落ち着いた態度、声……

鈴菜は座ったまま、教壇に立つ尚哉を見上げていた。

そんな生徒たちの視線の前で、尚哉はゆっくりと口を開いた。


「僕は今月末付で、別の高校に赴任することになりました」


――――その言葉に。

教室内が一瞬、シーンとなった。



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