センセイと一緒 ~feel.White~
鈴菜も勉強ができないわけではないが、姉には劣る。
仕方がないと言えば仕方がないし、鈴菜も姉のことは誇りに思っている。
……けれど。
黙った鈴菜に、父は固い声で言う。
「お前には前から、K大にしろと言ってあっただろう? なぜ今更、そんなことを言う?」
「この大学に行きたいの! お願い!」
「ダメだ。話にならん」
父は吐き捨てるように言い、椅子を立った。
その背を見送った後、母の勝子がため息交じりに口を開く。
「あんたの気持ちもわからないでもないけど。無い袖は振れないのよ」
「……」
「奨学金でもあれば別だけど……」
母の言葉に鈴菜は顔を上げた。
身を乗り出すように口を開く。
「じゃあ、奨学金が取れればいいの?」
「100%大丈夫とは言えないけど。でも奨学金を取れれば、お父さんも話を聞くんじゃないかしら?」
勝子の言葉に鈴菜は俯いた。
……であれば、なんとか奨学金を取るしかない。
鈴菜は決心し、ぐっと手を拳に握りしめた。