センセイと一緒 ~feel.White~
夕方。
鈴菜は中庭の芝生の上で、ぼーっと空を見上げていた。
……受験は、終わった。
一週間後には卒業式だ。
なんだかこの2年、あっという間に過ぎた気がする。
「おーい、鈴!」
廊下の方から和泉の声がする。
和泉はペットボトルを片手に鈴菜の方へと走り寄ってくる。
……ちなみに。
生物室での『お祝い』は、とても柊史らしい気の利いたものだった。
飼育していたモズクガニの塩茹でや、食用ザリガニの素焼きなど。
生物部員は3年が半分ほどを占めていたので、卒業すると飼育する人が足りなくなるらしい。
それでモズクガニやザリガニは悲劇的運命を辿ることになったわけだが……。
「あー、お腹いっぱい!」
それらをお腹いっぱい食べた和泉は、やはり柊史の妹なのだろう。
ははと鈴菜は笑いながら隣に座った和泉を見た。