センセイと一緒 ~feel.White~
和泉の言葉に鈴菜は目を見開いた。
……記憶の奥で蘇る、桜の記憶。
木漏れ日が差し込む、中庭の芝生の上。
満開の桜の下。
さざっという風の音とともに、桜の花びらが降り注ぐ。
その下で……。
「それがすごく、寂しげというか切なげというか。何かあるのかなーって思ったよ」
「……」
鈴菜は胸がドキドキしてくるのを感じた。
……まさか。
あのときの……声は……
あのとき唇に触れたのは……。
――――幻では、なかったのだ。
「まぁ実際は、何かどころじゃない、想像もつかないような事情があったわけだけどね?」
「……」
「運命のイタズラってのは恐ろしいね、ホント。ま、結果オーライだからいいのかもしれないけど?」
くすくすと和泉は楽しげに笑う。
鈴菜もそれにつられて笑いながら、早春の空を見上げた。