センセイと一緒 ~feel.White~



7月の初め。

放課後。

鈴菜は進路指導室の壁沿いに置かれた奨学金のパンフレットを片っ端から集めていた。

奨学金もものによって内容はピンキリだ。

大学独自に行っているものもあれば、公的な奨学金もある。

公的な奨学金は第一種と第二種があり、第一種であれば無利息で借りることができる。

が、成績や親の収入条件など、条件がかなり厳しい。

第二種であれば利息があるが、条件はだいぶ緩やかになる。

可能であれば、第一種にしたい。


「……うーん……」


と、首をひねった時。

後ろから低いテノールの声がし、鈴菜はびくっと背筋を強張らせた。


「森下さん」

「……っ、白崎先生……」


尚哉は進路指導室で面談をしていたらしく、片手に成績表が入ったファイルを持っている。

鈴菜は思わず視線をそらしてしまった。

……あれから。

私立大学を希望した鈴菜はD組に編入となり、尚哉が担任となった。

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