センセイと一緒 ~feel.White~
頭の奥をガンッと殴られたような衝撃。
鈴菜は目を見開いた。
……なぜだろう……
……この、笛の音色……
聞いたことが、ある。
鈴菜は息を飲み、ぐっと手を拳に握りしめた。
――――思い出してはならない、と心の奥底から声がする。
けれど。
尚哉の笛の音は、鈴菜の記憶の奥を容赦なく揺さぶっていく。
そう、確かに聞き覚えがある……。
どこだったか、あれは……。
と、舞台を見つめていると。
女が舞台の上に設置された井戸の前で夫との想い出を語り始めた。
幼馴染だった夫が、求愛の際に妻に贈った歌を詠み上げていく。
『筒井筒 井筒にかけし まろがたけ 生いしけりしな 妹見ざるまに』
――――昔、あなたと遊んでいた幼い日に、井筒と背比べした私の背丈はずっと高くなりましたよ。あなたと会わずに過ごしているうちに……