センセイと一緒 ~feel.White~



鈴菜はぐっと目を瞑った。

……井筒……

つまり、井戸だ。

井戸……。

鈴菜の記憶の中から何かが浮かび上がってくる。

……井戸のところでこの笛の音を聞いた気がする。

どこだったか……

と、その時。

舞台から流れてきた笛の音色に、鈴菜は再び頭をガンッと殴られたような衝撃を覚えた。


――――尚哉が奏でる、笛の音色。


思わず呻き、頭を抱える。

……危険だと心の奥から声がする。

けれど笛の音は、鈴菜の胸の奥に沈んだ記憶をどんどん暴いていく。

そして……


「……っ……」


ひと粒の涙とともに……。

――――鈴菜は全てを思い出した。



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