センセイと一緒 ~feel.White~
それから。
鈴菜と少年は、神社の境内で何度か会うようになった。
少年はつっけんどんな態度だったが、なぜか鈴菜は少年に懐き、放課後は神社に向かうことが多くなった。
丁度その頃、和泉が草野球チームに入ったこともあって、寂しかった鈴菜は毎日のように神社へと向かった。
「ねぇ、ナオくん。今度は『トルコ行進曲』を吹いて!」
あれは、3回目ぐらいに会った時だろうか。
少年は自分の名前を『ナオヤ』と名乗った。
苗字は教えてくれなかったが、名前を教えてくれただけでも鈴菜には嬉しかった。
「それは無理。主旋律だけだと……」
「じゃあ、『夕やけこやけ』!」
鈴菜の言葉に、少年はくすりと笑って笛を構えた。
……その、どこか優しい笑顔。
初めて会ったときより、だいぶ少年は柔らかい表情をするようになっていた。
鈴菜はその笑顔に惹きこまれ、ぼうっと見上げながら少年が奏でる笛を聞いていた。