センセイと一緒 ~feel.White~
4.重なる面影
全てを思い出した鈴菜は、両手で顔を覆った。
既に能は終わり、観客がぞろぞろと退場していく。
鈴菜は思い出した記憶を切なさとともに噛みしめていた。
――――辛い記憶。
破れた初恋。
きっと思い出さなかったのは、思い出したくないと思っていたからなのだろう。
鈴菜は嗚咽し、肩を震わせた。
あの頃……
自分は神社に行くのを、彼に会えるのをとても楽しみにしていた。
遠い昔の輝いていた日々。
彼に会えると思うだけで心が弾んだ。
幼心に彼の傍にずっといたいと思っていた。
けれど、あの日……。
「……っ、ぅうっ……」