センセイと一緒 ~feel.White~
尚哉は自嘲するように言い、少し笑う。
……昔の記憶にはない、大人びた笑い方。
10年という年月の重み。
お互いにあの頃とは違う。けれど……
懐かしい、同じ記憶を共有している。
「あの時、もっとちゃんと君と話していたら、こんなに思い悩まずに済んだのかもしれない」
「……先生……」
鈴菜は呟くように言った。
……尚哉のことを何と呼べばいいのか、わからない。
けれどこの2年、ずっと『先生』と呼んできたのでなんとなく『先生』と呼んでしまう。
そんな鈴菜を見、尚哉は口を開く。
「君が来なくなってから、おれは君に会えるかもしれないと思って、毎年、桜羽能に参加してた」
「……え、そうなんですか?」
「君は昔、毎年ご両親と桜羽大祭を見に行っていると言っていたからね。それに望みを賭けてた」
くすり、と尚哉は笑う。
鈴菜は驚き、目を見開いた。
まさか、そういう理由で桜羽能に参加していたなんて……
全く想像すらしていなかった。