センセイと一緒 ~feel.White~
5.止められない
21:00。
二人はバスを降り、家への道を歩いていた。
尚哉と一緒に帰るのはこれが3回目だ。
鈴菜は歩きながら口を開いた。
「そういえば。あの神社で練習してたってことは、先生の家はあの神社の近くなんですか?」
「そうだね。徒歩5分というところかな。……おれの家はあの神社の宮司をしててね。だからおれも、いつもあそこで練習してた」
「へぇ……」
なるほど、と鈴菜は頷いた。
今になって知る事実に今更ながら驚く。
というかなぜ、自分はこんな大事なことを忘れていたのか。
幼かったせいなのか、それとも当時引越しやら何やらでバタバタしていたせいなのか……。
はぁと息をついた鈴菜を、尚哉が横目で見下ろす。
「……どうかした?」
「あ、いえ。自分の記憶の不甲斐なさに呆れてたとこです……」