センセイと一緒 ~feel.White~
尚哉の爽やかなシプレーの香りが全身を包み込む。
鈴菜は朦朧とした頭で自分の視界が滲んでいくのを感じていた。
――――あの幼い日。
涙とともに破れた初恋の痛みが、別の痛みとなって鈴菜の心に蘇る。
痛い、けれど……溶けそうに甘い、痛み。
鈴菜は心の奥から温かいものが溢れてくるのを感じていた。
尚哉はぼうっとしている鈴菜の耳元に、甘く掠れた声で囁く。
「おれはどんな手段を使ってでも、君を手に入れるよ。近い将来、確実にね」
「……」
「君を手に入れるためなら、何を犠牲にしても構わない。悪魔に魂を売ったっていい。……だから覚悟してて、鈴菜。おれは絶対に君を離さないから」
「……先生っ」
鈴菜は驚き、目を見開いた。
心が溶けそうになる、その言葉。
けれど。
昔と違って、自分と尚哉はただの幼馴染というわけではない。
……教師と、生徒だ。
鈴菜はその事実に身を震わせた。