センセイと一緒 ~feel.White~
2.借り
昼休みの後。
鈴菜は進路相談のため、進路指導室に向かった。
3年から、月曜のこの時間は担任と生徒の面談の時間となっている。
「失礼します」
ブースのドアを軽くノックし中に入ると、尚哉の姿が見えた。
その姿に思わずドキッとする。
尚哉はいつもの穏やかな笑みを浮かべ、椅子を指差した。
「さ、そちらに掛けてください」
「……はい」
鈴菜は椅子に座り、持ってきた進路調査票をテーブルの上に置いた。
尚哉は鈴菜の向かいで、成績表のファイルをパラパラめくっている。
「……森下さんの成績表は……ああ、これですね」
言いながらファイルから鈴菜の成績表を取り出す。
その白い指先に、鈴菜の視線が吸い寄せられる。
記憶の中で笛を吹いていた、あの指先。
鈴菜は思いを振り払うように進路調査票に視線を向けた。