センセイと一緒 ~feel.White~
2.失った記憶
19:00。
闇に沈む校舎の中、進路指導室のみ灯りがついている。
その中で、鈴菜は申請書類を尚哉とともに確認していた。
「白崎先生、すみません。遅くなってしまって……」
「いいんですよ。これも僕の仕事ですからね」
尚哉は言い、書類を確認しながら封筒に入れていく。
……その白く長い指先。
前にボーリング場に行った時、尚哉にボールの持ち方を教えてもらったことを思い出し、鈴菜は目を伏せた。
いつでも、どんな時でも……
尚哉は優しく穏やかな目で鈴菜を見守ってくれた。
あの体育祭の時のことが幻のように思えてしまう。
「郵便局は……この時間だと、本局に持って行った方が良さそうですね」
「はい……」
「では駅前の本局に寄ってから、帰りましょうか?」
尚哉の言葉に鈴菜は目を見開いた。
……それは一緒に帰るということだろうか?
立ち尽くす鈴菜の前で、尚哉は封筒を手に椅子から立ち上がる。
「さ、行きますよ、森下さん」
「は、はい……」