センセイと一緒 ~feel.White~
鈴菜は慌てて教科書に視線を映した。
そんな鈴菜の前で、尚哉はペンで教科書を指差しながら口を開く。
「江戸時代の改革というと、享保の改革、田沼の改革、寛政の改革、天保の改革……ぐらいですかね?」
「……はい」
「田沼の改革以外は、全て『質素倹約』が共通してます。特に天保の改革は、江戸に出稼ぎにきた農民を強制送還、しかもその費用は農民の自腹という非情ぶり」
「……」
「それ以外の改革は新田開発したり、農民に職業訓練をしたりと、多少はマシだったようですね。こんな感じで、為政者ごとの特色で覚えておくといいんじゃないでしょうか?」
尚哉の言葉に、鈴菜はなるほどと頷いた。
確かに暗記で丸覚えするより、こうして覚えた方が記憶に残る気がする。
ふむふむと鈴菜はノートにペンを走らせていた。
その時。
「……白崎先生」
可愛らしいソプラノの声。
見ると、村居さんが日誌を片手に尚哉の近くへと歩み寄ってくる。
鈴菜は内心で息を飲んだ。
村居さんは鈴菜に構うことなく、尚哉に話しかける。