センセイと一緒 ~feel.White~
「森下さん」
「……?」
「なぜ昨日、途中で帰ってしまったのですか?」
突然掛けられた言葉に、鈴菜はぴしっと固まった。
……なぜと言われても……。
いつのまにか尚哉は鈴菜の方に向き直り、鈴菜をじっと見つめている。
「……森下さん。昨日、これを忘れていきましたね?」
言い、尚哉が指差したのは……
昨日、授業の後に片付けるはずだった日本史の年表。
……そうだった、すっかり忘れていた。
鈴菜は青ざめ、言った。
「すっ、すみませんっ」
「昨日、あれから僕が戻しておきました。というわけで森下さん、君は僕に借りを作ったことになります」
尚哉は言い、うっすらと笑った。
……その、細められた美しい瞳。
迫力すら感じる笑顔。
鈴菜は思わず後ずさった。