センセイと一緒 ~feel.White~




「二人でここで会うのは、10年ぶりだね?」

「そうですね……」


鈴菜は辺りを見回した。

昔に比べて鎮守の森の木々も増えたような気がする。

杉の幹も太くなり、地面に根を這わしている。

……10年の歳月。

懐かしそうに辺りを見る鈴菜を、尚哉がじっと見つめる。


「おれはここに来るたびに、君がふと現れるんじゃないかと……心のどこかで、いつも期待してた」

「……先生……」

「だから今は、とても嬉しい。君がここにいることが、夢ではないかと思ってしまうよ」


言い、尚哉は鈴菜の唇に優しい口づけを落とした。

淡く優しい熱が、二人の唇の間で溶けていく。


「もし夢なら醒めたくはない。君と二人で、ずっとこうしていたい……」

「先生……っ」

「でも、……夢ではない、ね」


< 84 / 215 >

この作品をシェア

pagetop