センセイと一緒 ~feel.White~
<side.尚哉>
鈴菜が帰った後。
尚哉は杉の木の幹に寄りかかり、はぁと息をついた。
――――あれから、一週間。
尚哉は先ほどまで傍にいた鈴菜の温もりを思い出した。
……本当は離したくない。
一秒でも長く、鈴菜と一緒にいたい。
鈴菜への想いを抱えて、宛てもなく彷徨っていた10年間。
ただひたすら願い、望み……。
けれど願いは叶わず、望んだ分だけ心に傷を負った。
――――望まなければ傷つくことはない。
そうわかっていても、望まずにいられなかった。
しかしあの夜、運命は動き出した。
そして、10年越しの想いが叶おうとしている今。
ずっと押し込めていた、様々な願いが心の奥から溢れ出す。