センセイと一緒 ~feel.White~
四章
1.波乱の予感
10月末。
鈴菜は自室で、尚哉からもらった奨学金の案内を確認していた。
あれから審査に無事通り、奨学金が使えることになった。
私学の場合は月額6万ほどで、それとは別に、さらに申し込めば入学金にも奨学金を使える。
「あら、鈴菜。何を見てるの?」
後ろから声がし、鈴菜は椅子に座ったまま振り返った。
見ると、姉の春菜が鈴菜の背ごしに奨学金の案内を覗き込んでいる。
「へー、奨学金かぁ。……よく取れたね、鈴菜」
「お姉ちゃん……」
「成績条件とか、けっこう厳しいんでしょ? ……あんた、そこまでしてあの大学に行きたいのね~」
ふむふむ、と感心したように姉は言う。
鈴菜ははぁと息をついた。
「これを学びたい、って明確な目的をもって大学を選べる高校生って、なかなかいないわ。頑張んなさいよ、鈴菜?」
「ありがと、お姉ちゃん」