先輩へ… 16年後のラブレター
つらかった。

自分から始めた恋を、自分で終わらせた。

本当は別れたくなかった。

水野先輩のことが好きだから、これ以上先輩のことを嫌いになりたくなかったから。

醜く言い争って別れるのが嫌だったから、そっと手紙を置いてきた。

それなのに、水野先輩は私の家に会いに来た。

私が逆の立場でも会いに行くとは思うけど。

先輩は、ごめん、別れたくない、と。

でも、私は許さなかった。

先輩が謝ってくれたけど、私はほとんど顔を見ず、私からは言葉を発しず、お別れした。

つらかったから。

水野先輩が泣いていたから。

先輩の顔を見ることができなかった。

私の中で、先輩のニコニコしている顔を留めておきたかったのに、泣き顔が最後に見た顔になってしまった。

本当に終わってしまった。

先輩が帰ったあと、一人で泣いた。

先輩、ごめんね。

謝らなきゃいけないのは私の方。

無理やりバイトに行かせて、勝手に未来を想像して。

いつも優しかった先輩を悲しませた。

ごめんなさい。

私はその日ずっと泣いていた。
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