メイプル*コイスル!
「で、何でお前もいるんだよ……」
「誰のおかげで会えたと思ってるんだ、いいだろそんくらい」
再び6組にて待ちぼうけ。
いや、待ちぼうけNOW。
もういっその事1組に行ってしまおうか。
しかしあくまでもクールに通したいとも思う。
男はがっついたら負けだ!
そして歯を食いしばること約10分。
「お邪魔しまスギッチ……」
小さく言いながら彼女が教室に入ってきた!
ちょっと待て、スギッチってなんだ……。
「おぉー、遂にご本人登場!さぁさぁ、こちらに」
「どーもねー」
漫才かよ、お前ら。
愛希が引いた椅子に彼女が座ると、教室は一気に緊張が張り詰める。
沈黙を破ったのは『妖精ちゃん』だった。
「あ、あの昨日はありがとう!……すごく、嬉しかった」
「いや、そんな言われるような事じゃないから……」
ほんの少しだけ顔を赤らめて例を言う彼女はやはり可愛い。
彼氏がいてもおかしいことは何もない。
……そうではないことを期待しているのが今の俺だが。
「あっ!あのね?甘いもの平気?」
「うん、好きだよ」
むしろ大好きだ。
大の甘党である俺だが、なんとなくかっこ悪いので家の中だけの秘密であったりする。
彼女は鞄をごそごそとあさり、可愛らしくラッピングされた袋を俺に差し出した。
「クッキー作ってみたの。よかったら食べてくれる?」
「すげー、お菓子作れんの!?タイプだわそーいう女のコ!」
がっつく愛希を華麗にスルーして、彼女は俺に微笑んだ。
「あたし、上園かえでっていうの。仲良くしてね」
かえで。
可愛い。
名前可愛すぎるだろ。
「俺は松本俊哉、よろしく」
「さぁさ、食べておくんなせぇ……」
何故か古風な口調で勧められたので、遠慮なく可愛いラッピングを開けた。
……。
…………。
くせぇ。