魔王と女神のシンフォニア
「・・・・・ひっ」
体が固まった。
なぜなら、知らない男性が自分の部屋にいたからだ。

「あっ・・あの、同室の差義理歩と言います。よろしくお願いします。」
彼は目があうとそう言っていた。あぁ同室の方かと思ったが、相手が男性ということと自分がバスタオル一枚という姿の恥ずかしさで思考回路が追いつかず何も言葉がでてこない。すると何かを納得したように彼は口を開く、
「だっ!大丈夫!君が女装趣味だなんて誰にも言わないよ!」
じょ・・・そう?一体彼は何のことを言っているのだろうか。
考えていると心配そうな顔をした彼がこっちに近よってきながら、

「いや、あのごめんなさい!ベッドに座ったら目に入っちゃって。でっ、でも、本当に女性かと・・・」

「いゃぁぁぁぁぁ!」
思わずびっくりして突き飛ばしてしまった。実は遠くから男性を見たことは入学式などではあるが、父以外近くで男性を見るといったことはなかったためただただ少し驚いた。

ゴン!という音がして彼は気を失ってしまったようだ。どうやらベッドの下の固い部分に頭が当たってしまったらしい。

「あぁ!大丈夫ですか!?」
大事に至っては大変だと思い体が勝手に動く。
・・・完全にのびているようだ。家で少し学んだ力を使いベッドに体を移す。とりあえず大事に至らず良かったと胸を撫で下ろすと同時に自分の格好にも気付きすぐに着替えた。

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