魔王と女神のシンフォニア
「うわっ!」
彼はバッと直ぐに飛び退いた。彼は言葉がでてこないという感じだったのでこちらから口をひらく。

「すみませんでした。私、男性とお会いするのは父様意外は初めてなものでびっくりしてしまって」
すると、彼も申し訳なさそうに

「いや、こちらこそすみません。こちらもいろいろ見てしまいましたし。」
「いろいろ・・・ですか。」
思わずあの場面を思い出して頬が熱くなる。
少しの間沈黙が続いた。
彼の様子を伺うとなにか考えこんでいるようだった。

ハッと重要なことを思い出す、
「あっ 申し遅れました。私、アリス・レーベルと申します。」
「あぁ 僕は・・・」
「差義理歩さんですよね。先ほど自己紹介なさっていたので了承してます。」
自己紹介していることは聞いていたし寮長が名前を言っていたので覚えるのには苦労しなかった。

「アリスさんか。すごく女の子らしい名前だね。」
「いえ それほどでも。」
名前を異性から誉められることは初めてで素直に嬉しく少し照れてしまう。

すると、彼は何故か何かを感心しながら何かを思い出したように口を開く、

「あっ!大丈夫!貴方の趣味のことは誰にも言わないから安心してください。」
「私の・・趣味ですか?」
趣味・・・?そんなに隠すような趣味は持ち合わせている記憶はないのだが・・・。

私が考えていると彼は意
を決したように口を開く、

「いやだから女装のことは誰にも言いませんから安心してください。」
安心して!というような笑顔で私に言ってくる。

「女装・・私がですか?」
「いやだって女性ものの服とかが荷物に。」
「だって、私は女ですから。」
彼は少し固まったあと驚いたような表情になった。
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