魔王と女神のシンフォニア

―――――――

浴室に倒れていた差義理さんをベッドに移し、朝食に誘おうと少し揺すって起こそうとしたが、よほど昨日疲れていたのか全く起きる気配はなかった。仕方なく朝食は一人で食堂に向かう。

いかんせんまだ入学したてで知り合いも少ない。一人でまた食べるのかぁと思っていたら、前の席に見知った顔の人が座ってきた。

「やぁ　おはよ」

寮長こと相良藍香である。

「おはようございます。藍香さん。」
「おぉ　なになに？ずいぶんと機嫌がいいようだけど何かあったのかい？」
にっこりしながらわざとらしく聞いてくる。

「特に何もないですが。」
普通に受け答えて返答する。

「あぁ　あぁそう！頬っぺたつねってｸｽｸｽ笑ってた人がねぇ」

ﾌﾞﾌｰ！

思わず味噌汁を口からはくところだった。

「みっ　見てたんですか！？」
「まぁ　あのボタンにちょちょっと細工がね～♪」
面白そうに藍香は話す。
多分、何らかの魔力を含め盗聴か盗映をしていたのだろう。

「私はアリスお嬢ちゃんの少女らしいところがみれて大満足なのだよ！」
率直に、この人はどこぞの親父か。そう思った。


「あれ？怒った？」
「怒ってません！」
少し口調が強くなってしまった。彼女の前ではどうも自分が全て見透かされているような気がしてそこだけが少し苦手だ。


それを察してか藍香は話題を変えた、

「そういや差義理はどんな感じのやつだと思った？」
「どうって。優しくて面白い方だと思いましたよ。」
素直な意見を述べる。

「ふーん　そっかぁ。」
わざとらしく大きく頷きながら、

「まぁ　でもなかなか思い通りには行かないものよね」
ボソッと一瞬真面目な表情になる。

それは直ぐにいつもの表情にかわり、

「まぁ　頑張んなさい！女神さん！」
ﾄﾝﾄﾝと肩を叩かれ藍香はその場を後にした。