魔王と女神のシンフォニア
「1日だけですが一緒に過ごして差義理さんが悪い人には思えません。だから・・・だから、お友達になれれば嬉しいです。」
笑顔を作りアリスは答える。

思わず涙がでそうになった。しかし、ここはグッとこらえながら歩は口を開く。


「こちらこそ、よろしくお願いします。」
かろうじて笑顔で返す。

「あら、もう6時ですね。」
時計を見ると新しい部屋割りが決まる6時になっていた。


「本当ですね。」
歩は受け答えする。

「差義理さん、またいつお会いできるか解りませんが体調などにお気をつけて。」
「えぇ あなたも」
すると、アリスは少し不機嫌そうな顔をする。

「あっ あれ?僕何か気にさわることを?」
考えてみるが思いあたることはない。

少しすると少し頬を赤らめながらアリスは口を開く。

「私たち、お友達になったんですよね?」
コクッとうなずく。

「私、アリス・レーベルって言う名前があるんですよ。」
プイッとそっぽを向く。まるでわがままを言う子供みたいな仕草だ。

確かに思い返せばアリスの名前を一度も呼んだ覚えはなかった。

「あっ あのレーベルさん?」
恐る恐る名字の方を言ってみる。

「・・・・・」
アリスからは何も返ってこない。

歩は覚悟を決めて口を開く。

「あっ アリスさん。」

すると、アリスは眩しくやさしい笑顔で

「はい。歩さん。」
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