魔王と女神のシンフォニア
部屋に戻るとまだ歩はベッドの上で眠っていた。

「・・・・・♪」
アリスの心の中にイタズラ心が働いてしまう。


歩の頭を膝に起き少し頬をつねる。

「イダイイダイzzz」
「クス クス」

本当にこの人があの魔王なのだろうか。ふとそう思ってしまう。

しかもサタンだ。魔王にも4人おり、闇を司る魔王・ディアボロス。色欲を司る魔王・サキュバス。幻覚を司る魔王・ベヒモス。そして、4人の中でも特に力を持っていたと言われた死を司る魔王・サタン。


ただサタンは15年前何故か血はたたれたと私は父から聞いた。学内はパニックだろう。


怖くないと言ったら嘘だ。正直に言えば今も少し怖い・・・死を司る魔王だ殺されるかもしれない。魔王にとっても女神は嫌な存在だろう。しかも私は、生を司る第一女神、サタンとは対になる能力の持ち主だ。
 
そんなことを考えていたからか少し強く歩の頬をつねってしまった。

「イダダダタタ・・・んっ!?」

歩の目が合いた。私は笑顔のまま硬直し、そして、

「あっ!あの!」
「いやぁぁぁぁぁぁ!」

ゴスッ

歩が何か言おうとしたのをそっちのけに思わず歩の後頭部に手刀を入れてしまう。
するとすぐにガクッと歩がまた深い眠りに落ちてしまったようだ。

「あらら~」
アリスが苦笑いを浮かべている傍ら、何故か歩の顔は少し幸せそうだった。 
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