魔王と女神のシンフォニア
とまぁ、そんな事があったわけで失敗する訳にはいかなかった。


個人の能力強化というのも一人ずつ個々の特性にあったことをやると言うものだった。

「次はヘクトル・レインバレルく～ん」
シフォンが独特の話し方でヘクトルを呼ぶ。

ヘクトルの強化練習は高さ三メートルほどの岩を砕けというものだった。

ヘクトルは片手で黒い塊のようなものを出し、それを岩に投げつける。

ｺﾞﾝｯ！

という重々しい音と共に岩は木っ端微塵に砕かれていた。

「すごっ」
思わず口から言葉が漏れてしまう。

「いや　いや　普通だよ普通。」
にこにこしながらヘクトルは定置に戻る。

「次は～　差義理歩く～ん」
自分の名前が呼ばれて移動する。

「差義理くんは～　えぇと～　とりあえず魔力強化で～」
少し拍子抜けだった。内容は少し離れている小さな岩のような物体を少し動かせというなんともショボいものだった。が。

「う～ん　この程度もできないのならもう一年、一年生をやりないさないとかもですね～」
ニコニコしながらシフォンは告げる。

そういえば、今まで魔力なんて言葉も、ましてや使うことなんてあまりなかったのだ。

自分でも少し落ち込みながら定置に帰っていると。

「ﾌﾟｸｸ。」
静かにルビィが笑っているのがみえた。
悔しいが何も言い換えすことも何もできなかった。
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