魔王と女神のシンフォニア

二人で食堂に行き久しぶりに人との食事を楽しむ。

「私、他の人とこうしてご飯たべるの６年振りです。」
しみじみと感動したような表情でフェリスはご飯を食べる。

「あぁ　すみません。サタン様。」
慌てたようにスプーンを置く。


なんだがサタンと呼ばれるのも様付けされるのも背中が痒かった。

「あっ　あの！」
「はい。」
「そのサタン様って止めない？」
「でっ　ですが」
フェリスは少し困ったような顔をする。

「フェリスさん。僕と同い年でしょ？」
話を聞くかぎり同じ１５歳のはずだ。

「たぶん、そうです。」
「じゃあ敬語もなし、あと僕のことは歩でいいから。」
「・・・・・・」
困ったという感じだ。代々サタンに仕えた家系と言っていたから抵抗があるのだろう。

「じゃあ、それが協力の条件ってことで。」
それに反応するようにフェリスは体をﾋﾞｸｯと反応させ、少し笑いながら口を開く。

「？」
僕は不思議な顔でフェリスを見ていた。

「いえ、ごめんなさい。叔父の言葉を思い出してしまって。」
「叔父さんの言葉？」
「ええ、叔父は親戚といいわけではなくて父と仲が良かったサタンに仕えていた一人だったみたいなんで・・だけど」
語尾を言い直しながら話を続ける。
「魔王サタンは、会った人のない人はひたすら怖い印象をもたれてるけど、会ってみたら存外気さくな奴だったってずっと叔父が言ってましたから。」

サタンは、死のイメージを持つことから恐れられているのだろう。

「まぁ　初日は大変だったよ。色々騒がれたしね。」
初日のことを思い出して苦笑いする。

「なぜ、父たちが最後まで先代のサタン様をそこまで思っていたか歩を見てたらわかった気がするわ。」
何かを納得するようにフェリスは僕を見る。

「そうかな？」
何故かその言葉が僕には照れくさかった。