魔王と女神のシンフォニア
そして、計画実行の時がくる。フェリスがもしも暴れだしたらいけないのでシフォンも呼んだ。

「じゃあ 始めよう。」
僕の声にルビィが祈るようなポーズをとる。僕も目をつむり意識を集中する。


―――――――

気が付くと僕はよくわからない薄暗い空間に立っていた。
どうやらここがフェリスの深層心理のようだ。

少し歩くとポツリと体操座りをしているフェリスがいた。

どことなく表情は寂しそうだった。

「フェリス」
僕が呼んだのに気付いたのか顔を此方に向ける。
「あぁ 歩。早く帰ったほうがいいよ。きっと私はあなたたちを傷つけるから。」
フェリスは何やら落ち込んでいるようだ。

「僕はそうは思わない。フェリスは優しい人だと思うよ。」
「あんたに、あんたに何がわかるのよ!」
フェリスは声をあらげる。

「私は生まれて間もなく両親もいない!友達だっていない!だから・・」
フェリスはとても悪い笑みをみせ。

「だから、壊したいのすべて!」
「・・・君、フェリスじゃないね。」
様子がおかしい明らかにいつものフェリスではない。

「何言ってるの。私はフェリスよ。歩。」
歪んだ笑みを浮かべながらフェリスは言う。

「フェリス・・・こんなやつに負けちゃだめだよ。」
「何を・・・言ってるの?」
「戻ってきてよフェリス。」
「だから、私がフェリス・・・・」
「フェリス!」
僕はありったけの声で叫ぶ。

「うく・・・うぅ」
フェリスがぶれるように見え徐々に2つに別れる。
「歩!」
別れたひとつが此方に歩み寄る。

「バカな!?」
ドス黒いフェリスの形をしたかたまり驚愕の表情をしている。

「くそ!」
宿主に戻るべくこちらに近づいてくる。
僕は体全体に力を入れ、
「僕は呪いの存在のお前に死を宣告する!」
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