誘惑のクラン(血族)
「お前には関係ない。人間はいるが、けっして手を出してはいけない。いいな?」


「お兄様……え、ええ。わかりました」


優真の有無を言わさない口調に香織は頷いた。


娯楽室のスピーカーを大音量にしているようで、ぴたりと閉められているが音がうるさく漏れている。


その音のせいで、玄関のチャイムが聞こえなかったのだろう。


しかし、碧羽には香織の訪問がわかっているはずだ。


「人間は……リビングと娯楽室にいるのね?」


2つの部屋から人間の匂いが漂ってくる。


香織は急激に喉の渇きを覚える。


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