誘惑のクラン(血族)
香織は優真から離れると、リビングに足を向ける。


「ご挨拶をしなくてはね? お兄様」


普段は美少女といった雰囲気なのだが、赤いルージュをひいた唇でにっこり微笑むと妖艶な雰囲気になる。


もちろん彼女は20歳の娘ではなく、250年生きているヴァンパイアだ。


香織はリビングのドアノブに手をかけた。


リビングにひとり残された璃子は、落ち着かなくソファに座ったまま優真を待っていた。


そこへドアが開き慌てて立ち上がった。


最初に姿を見せたのは、待っていた優真ではなく、美しい女性が見え困惑した璃子の目が大きくなる。


やっとのことで美しい女性から目を逸らし、後ろにいる優真を見る。


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