誘惑のクラン(血族)
「姉さん、こんな所まで来ては体調を崩しますよ」


碧羽は璃子の隣に座ると言う。


「皆と離れていたくなかったのよ。ここに来て正解だわ。可愛いお客様とお話も出来るし」


香織は隣に座る優真を見て微笑む。


その微笑みは愛しむような雰囲気だ。


そんなふたりを見て、璃子は胸がツキッと痛む。


その痛みはふたりが目を合わせるたびに。


香織が優真の手をそっと握るのを見ると、璃子はこの場にいるのが辛くなった。


兄妹なのにふたりが恋人同士に見えてしまう。


兄妹の域を超えているような。


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