誘惑のクラン(血族)
「お前にも抗えない魅力的な条件をつきつけるとは……長は必死だな……」


優真は自嘲気味に口元を歪めた。


「今回の件、私は長のご意見に賛成なのです」


「香織と結婚し、跡継ぎを……か?」


「はい。あの娘を覚醒させてもなんの得にもなりません。それどころか優真様は数日動けない状態になるはずです。あの娘は優真様の血を大量に必要とします」


「……」


「尚哉様が長になれば、秩序が乱れ人間にも影響が出ます。このままの平和な世の中ではいられなくなるでしょう。長の意思を受け継ぐのは優真様でございます。どうか香織様にお心をお決めになってください」


八条は床に片膝を付くと頭を垂れた。


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