誘惑のクラン（血族）

受け取った香織は優真を鋭い目で見ていていたが、堪え切れないように金切り声を上げた。


「私はお兄様が欲しいのよ！　早く私を抱いて！」


このまま待っていても、自分の思い通りにならないとわかった香織は立ち上がると、優真に抱きついた。


「部屋に戻るんだ」


優真は冷たく香織の身体を引き離すと、部屋を後にした。


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自分がどこに向かっているのかもわからないまま璃子は走っていた。


そして、何度も小石や散らばった小枝に足をとられ転ぶ。


恐らく手足は擦り傷だらけになっていることだろう。


止まりたくても、ヴァンパイアを間近で見てしまい、璃子はパニックを起こしていた。