誘惑のクラン(血族)
『カラスはヴァンパイアが人間の血をすべて飲んだ後、肉や内臓を食らいつくすんだよ』


いつだったか、大学の友人の言葉を思い出した。


あの時は冗談でしょう?と璃子は笑った。


彼女の言っていることは本当なのかもしれない。


璃子はギュッと目を閉じてしまいたかった。


その時、カラスが璃子めがけて飛来してきた。


バサバサバサ!


「キャーッ!」


「カアアアア――」


璃子の頭の上を通り過ぎたカラスは数メートルしか離れていない低い木に止まった。


首をクリクリと動かしているカラスは、璃子のどこを狙おうか考えているように見える。


< 125 / 356 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop