誘惑のクラン(血族)
「怯える人間は本当にうまそうだな」


耳元で吐息が触れるくらいに囁かれた声に、璃子は弾かれたように振り返る。


ぞくりとする感覚に璃子は吐息が触れた耳を押さえた。


「!」


いつの間にか目の前に、優真の屋敷で見た男が立っていた。


『美味しそうなエサ』と言った男だ。


碧羽に暗示をかけられた璃子の記憶は元に戻っていた。


なんだろう……記憶が混乱している。


男は璃子を見て不気味に笑っていた。


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