誘惑のクラン(血族)
「お前、まだ処女だな。処女の血は格別に美味しい。ガキにはない、熟れ始めた実が香りを放つようにお前はたまらない匂いを纏っている……」


血だけではもったいないな。


彰はこの娘の中に荒ぶる身を沈め、吐きだしたらどんなに快感を得られるのだろうと考えた。


「どうせ狂い死にする運命だ。自分の悲惨な姿を見ないだけでも幸せだと思えよ」


この人はなにを言っているの? 狂い死にする運命? 私が狂い死にする?


疑問をぶつけたいのに、口が開かない。


だめ……赤い瞳を見てから身体が動かないし、意識が朦朧としてきた。


しだいに、恐怖におののいていた璃子の意識はなくなり、人形のように立っているだけになった。


璃子のうつろな瞳には彰しか映っていない。


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