誘惑のクラン(血族)
先ほどまで香織と結婚するのが一番だと考えたが、彼女が危機にさらされていると思うといても経ってもいられなくなった。


覚醒できずに狂い、抹殺されていくヴァンパイアなど数えきれないくらい見ている。


しかしそれが、彼女だと思うと胸が苦しくなる。


苦しい? ヴァンパイアの私が苦しいだって?


そんな感情が再び蘇ったのか?


大きく首を横に振った優真は、ぷっくりとしたピンク色の唇に指を伸ばす。


柔らかな唇に指を這わせると、唇を重ねたくなる。


あの時、彰から激しい欲望が感じられた。


もう少し行くのが遅ければ、私のせいで彼女は彰に欲望のままに遊ばれ、殺されていただろう……。


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