誘惑のクラン（血族）

璃子の心が安堵感に包まれる。


みるみるうちに璃子から恐怖の色は消え、微笑みを浮かべた。


その笑みは大輪のバラのような微笑みをする香織とも違い、野原に咲く小さな名も知られないような花がひっそり開いたような笑み。


この笑みに優真は心臓を鷲掴みにされる。


沙耶……君の娘をどうすればいいんだ……？


『今日から君は私の恋人』


無意識に出てしまった言葉だった。


璃子が恥ずかしそうにシーツの上のバスタオルを胸に引き寄せる。


記憶操作し、催眠状態にありながらも彼女は恥じらうことを忘れていない。