誘惑のクラン(血族)
おかしいと思われることを尋ねる女の子を見て、優真は20年前の記憶が一瞬にして戻る。


沙耶によく似ている……。


優真は自分の身体が一瞬、熱くなった気がした。


「監視カメラ……そうだったんですか。車がガス欠になってしまったんです。申し訳ありませんが、分けて頂けないでしょうか」


璃子は丁寧に頼んだ。


「すまないが、車は東京へ戻ってしまったんだ。分けてあげるガソリンはないし、送ってもあげられない」


車がないと知り、璃子はがっかりした。


「警戒するかもしれないが、部屋は十分にある。今晩は泊まっていくといい。カギもかかる」


璃子の心臓が、今までにないほど飛び跳ねる。



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