誘惑のクラン(血族)
今まで微動だせずに眠っていた璃子は呼びかけと共に眉根に皺をよせ、苦痛の表情を浮かべ始めた。


「璃子ちゃん? 目を覚ますんだ」


身体を揺さぶり、声をかけると、璃子はハッとした様に目を開けた。


「……優真さん」


「どうしたんだい? 悪い夢を見ていたようだ」


優真は璃子の額に手を置いてみると、じんわりと汗ばんでいた。


「あ……」


意識を失う前に思い出した記憶。


なぜ優真さんは私を「僕の恋人」などと思わせたの?



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