誘惑のクラン(血族)
柱時計がカチカチと音をたて、数秒が過ぎていく。


「……東京に帰らせてもらえるんですよね?」


「……」


「優真さん?」


「彼女は動けるようになったら東京に送ると誓うよ。璃子ちゃんは……」


優真は慎重に言葉を選ぶ。


「私は……?」


「璃子ちゃん、落ち着いて聞いて欲しい」


優真の怖いくらいに真剣な表情に璃子は生唾を呑み込む。


「私は十分に落ち着いています」


< 173 / 356 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop