誘惑のクラン(血族)

故由

「璃子ちゃん、君のお父さんは一代目のヴァンパイアだったんだ。普通は吸血されただけではヴァンパイアにはならない。お父さんの血を吸った者が、悪戯に自分の血を吸わせたのだろう。それで君のお父さんは一代目のヴァンパイアになった。人間との間に子供が生まれた場合、その子供は20才前後にヴァンパイアになってしまうんだ」


「お父さんがヴァンパイアだった? でも、お祖父ちゃんは何も言っていなかったわ! 私も普通に過ごしているし、そんなこと言われても信じられない!」


「ここへきて身体の調子がおかしいだろう? 昨日、君は彰に傷つけられケガをしたはずなのに、もうほとんど治っている。ヴァンパイアはケガの治りが早いんだ。間違いなく君はヴァンパイアに覚醒する。今は初期の段階なんだよ」


昨日のことを持ち出され、璃子は思い出した。


自分は傷口から出た血を舐めたのだ。


血を思い出すと、再び心臓が激しく鼓動を始める。


それは優真にも聞こえるのではないかと思われるほどの鼓動。


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