誘惑のクラン(血族)
身体を重ねる行為って……あ、あのこと?


「大丈夫。私が君の面倒を見る」


璃子ちゃん……君は沙耶に似すぎている……。


愛した人とそっくりな璃子に欲望を感じる優真は一瞬だけ顔を歪めた。


「璃子ちゃん、おいで」


手の届くところに立っていた璃子を優真は自分へと引き寄せた。


少しだけ身体を動かし抵抗を試みたが――結果、優真の膝の上に座った形になった璃子。


優真はヴァンパイアのものとは思えない優しいグレーの瞳で璃子を見つめた。


いつもなら顔を恥ずかしそうに頬を赤らめるだろう。


だが、今の璃子は頭がめまぐるしく考えそれすらなかった。


考えすぎて、無意識に下唇を噛んでいた。


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