誘惑のクラン（血族）

優真は璃子のすべすべした頬に指の背を這わせると、唇に触れた。


その指をおもむろに握った璃子は、優真を見る。


「……どうしてよく知らない私の面倒をみるなんて言えるんですか？」


「よく知らない訳じゃない。君のお父さん……大沢博士とは知り合いだったんだ」


「えっ？」


幼い頃に事故で亡くなってしまい、ほとんど覚えていない父親を出され目を丸くする。


「ヴァンパイアの研究をしている大沢博士に興味を持ち、知り合った。数年、研究を手伝ったことがある。彼の結婚後、疎遠になり君の両親が交通事故で亡くなったのを知ったのは数年経ってからだった。大沢博士は日記に君が２０才の誕生日前後にヴァンパイアに覚醒してしまうことを書いていた。それをお祖父様が見つけ、相談しに来た……と言うわけだ」


「おじいちゃんが……じゃあ！？　ここへ来たのも！？」