誘惑のクラン(血族)
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ひとりになると優真の顔が厳しい顔つきに変わる。


地下室に閉じ込めた香織のことも考え、話をしなくてはならない。


「八条」


それほど大きな声で呼んだわけではなかったが、部屋の入り口に八条が姿を見せた。


八条が優真の元へ来ると口を開いた。


「八条、私の決断を許してくれ」


「……璃子さんは沙耶さんにそっくりですから……惹かれない訳がないと思っておりました。私は優真様のご意志に従います。もう二度と裏切らないと誓います」


それは八条の本心なのかはわからない。


しかし何百年も信頼していた男だ。


甘いと思いながら言っていた。


「……わかった。これからは彼女を守るように」


「……かしこまりました」


八条は一礼をした。



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