誘惑のクラン(血族)
「言うことを聞かないと唇にキスをするよ」


止めの一言で、璃子は口をつぐみ、お姫様抱っこされたまま優真の部屋に運ばれた。


部屋に入り、2人掛けの丸テーブルを見て璃子は息を呑んだ。


ロマンティックな蝋燭の炎が微かに揺れている。


いつの間に用意されたのか、テーブルを彩る真紅のバラ。


まるで記念日を祝う恋人が演出したような雰囲気だ。


「優真さん……? 碧羽くんたちは?」


ふたり分のテーブルセッティングに優真を仰ぎ見る。


「ふたりは別で……特に食べなくても構わないんだ。私達は」



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