誘惑のクラン(血族)
「レアステーキだ。表面だけしか焼いていない。苦手だったはずだけど、きっと今の君なら食べられるだろうね」


最初の夕食の時に、レアステーキは好きではないと知られてしまったけれど、今は見るからに美味しそうなレアステーキを口の中に放り込みたくなっている。


優真がワイングラスを手にしたのを見て、璃子も同じくワイングラスを持った。


「私の妻に乾杯しよう」


「私の……妻……?」


優真の言葉が理解できない璃子は呟くように聞き返す。


「そうだよ。君は私の妻になるんだ。もうすぐね」


「そんな……」


心配はいらないと言ってくれていたけれど、妻になるなんて……。



< 192 / 356 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop