誘惑のクラン(血族)
「ヴァンパイアは同性には興味がない。人間の血を吸うだけならば男女問わないが、婚姻関係を結ぶのに、同性は選ばない。利点があるから妻、夫を選ぶ」


しかし、今までそこまでして人間を上級階級に引き上げた者はいない。おそらく優真が最初で最後だろう。


ほとんどのヴァンパイアに可哀想だという意識はほとんどないからだ。


それを強行してしまう自分はどこかおかしいのかもしれない。


「利点……私には特に優真さんにとって利点なんてないはずです。どうしてそこまでやってくれるんですか?」


自分の覚醒は狂ってしまうかもしれないと聞き怖くなったが、父の知り合いであるだけで助けてくれるのは不思議だった。


「それに……香織さんが……」


この目でふたりが抱き合っている所を見てしまったのを思い出した。


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